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The Sydney Morning Herald ウェブサイトの記事“The presentation that made a Sydney FC fan into their chief analyst”(NOVEMBER 25 2016)より

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シドニーFCの本拠地・シドニーフットボールスタジアム(2008年撮影 – 訳者)

 

「ダグ、いま何やってるんだ?」それはシドニーFCのサポーター、Doug Korsの人生を変えたテキストメッセージだった。クラブのチーフ・エグゼクティブ、Tony Pignataが、新しいヘッドコーチのGraham Arnoldと明日会えないかとKorsに聞いてきたのは、2014年12月28日、彼が朝食をとっているときだった。

ちょうどアシスタントのRado Vidosicが個人的な理由でクラブを去り、Arnoldはフルタイムのビデオ・アナリストを探しているところだった。クラブはKorsが早々に売り込んできたことを知っていた。

 

「そのとき、チームがブリスベンで試合をしていることは知っていました。だから対戦相手のブリスベンについての分析をまとめ、彼らに私ができる『違い』を見せられるように整理したのです。何ができるのか、それを見せるために来たんですと。ミーティングの場に到着し、ドアのところまで歩き、そこで自己紹介をしました。」Korsはその日のことを思い出す。

次の対戦相手の戦術分析について20分ほど話した後、ArnoldはKorsをフルタイムで雇うことを即決し、すぐに仕事を始めるように伝えた。

「そのとき、時刻は10時でした。ブリスベン行きの飛行機に乗ったのは2時でしたよ。」Korsはそう振り返る。

 

すぐに彼はクラブの奥の個室を与えられ、オーストラリアの最先端のアナリストの一人になり、コーチとITエキスパートによれば、他のどのチームにもない、シドニーFCのトップチームからもっとも若いアカデミーまでの分析チームを指揮している。

ほとんどが大学生からなる分析チームをリードし、KorsはすべてのAリーグの試合、クラブ、選手のデータ、映像、情報を収集し、シドニーFCのコーチたちに伝えている。情報はコーチたちによって、ゲームプランを構築するために使われる。そしてコーチは、15分を超えない短く簡潔なプレゼンテーションにしてチームに対して発表するのだ。

「私たちは、コーチと選手に、短く簡潔にまとめた重要な情報を伝えるために存在しています。有能なスタッフたちに、情報で負担をかけることは望んでいません。意思決定のプロセスのために重要な情報を提供することで、コーチたちの仕事をより良くしたいんです。」

 

選手たちは、個人別の戦術と各試合でのパフォーマンス、試合での出来についてのビデオ分析をまとめた、個人別の分析結果を渡される。ArnoldとともにKorsは、それぞれの選手について、プレーのシステムの中に個人別に位置づけた統計分析の独自のフォームを作り上げた。そこにはシュート、タックル、デュアルのような統計はなく、その代わりに前方へのラン、シドニーのプレーの中で使われる特定の種類のパス、誰もが気づかないようなディフェンシブな動きなどがある。

「何年も私はナショナルチームとマリナーズ(セントラルコースト・マリナーズFC)でビデオを使ってきました。しかしシドニーに来たとき、それがありませんでした。ダギーは若者だが、素晴らしい働きをしてくれています。」Arnoldはそう言う。

 

クラブのリクルートの組織に対しても、移籍の対象のデータを集めるとにおいて、Korsに託されたこのプロセスは役立っている。一連の詳細なレポートの中で、チームはすべての選手のそれまでの行動的な履歴と、戦術的な傾向についての情報を集めている。やがて、Aリーグのすべてのプレーヤーについての戦術的な情報、特にコーチングスタッフに対して提供できる潜在的な契約情報が集められるだろう。

「リクルート候補の選手についてレポートを作り、できるだけ多くの情報をコーチに与えています。複数の人でチェックするシステムを考え出したので、選手のリストを絞り込み、コーチに対して選手を判定するための鍵になる情報をビデオとともに送れるようになりました。」

 

シドニーFCはAリーグでフルタイムのビデオアナリストを雇用している7つのチームのうちの1つである。しかし、オーストラリアでほとんどすべてのプロスポーツチームに使われているソフトウェアを開発した会社によると、シドニーはAリーグの中でも抜きん出ているという。

またシドニーはライブコーディングを行なっている数少ないチームの1つで、ハーフタイムにすぐに戦術的なビデオ分析を使えるようにしている。メルボルン・ビクトリー、メルボルン・シティ、ウェスタンシドニー・ワンダラーズも分析については非常に熱心に取り組んでいるが、HudlのSportsCodeをスカイブルー(シドニー)と同じくらいの数所有し、シニアからジュニアまで、すべてのチームでより深い分析システム、コーディング、戦術的な情報を実践しているチームはない。

 

「彼らが構築した方法はよく整理されていて、実に素晴らしいシステムを実現しています。」Hudlのオーストラリアのマネージャー、Michael Conlanはそう言う。「Aリーグに戻る前、AFLでの数年の経験の間に自分の知識を本当に確かなレベルまで高め、分析の視点から高い水準を示したDougだから、それができたのです。」

Korsのコーディングとビデオ分析の活用例は、Hudlによって、そのソフトウェアを2つのイングランド・プレミアリーグのチーム、AFLのチーム、ラグビー代表チームに対してソフトウェアを披露するために使われている。

(橘 肇)

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