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昨シーズン(2013-14シーズン)のイングランド・プレミアリーグサッカーの大きな話題の一つが、4季ぶりのプレミア復帰を果たしたハル・シティAFCが、その勢いのまま、110年のチームの歴史上初めてのナショナルタイトルをかけ、FAカップの決勝を戦ったことでした(アーセナルに2-3で逆転負け)。このとき、チームでパフォーマンス・アナリストを務めていたのは、2008年までSportstec UKのメンバーだったLaurence Stewart氏です。サッカーのパフォーマンス分析に関するトピックの一つとして、Sportstecのサイトに掲載された記事を紹介します。
Sportstec社ウェブサイト「News」より転載・翻訳(写真とも)


ハル・シティのパフォーマンス・アナリスト、Laurence Stewart氏が語る

東ヨークシャーのサッカークラブ、ハル・シティAFCが楽々とプレミアリーグへの残留を決め、さらにFAカップの決勝に進出したとき、ここまでの成功をおさめると期待していた人はほとんどいなかったでしょう。さらに、この躍進の原動力がきわめて正確なパフォーマンス分析だと想像した人は、もっと少なかったでしょう。

Laurence Stewart(当時)がハル・シティのパフォーマンス・アナリストとして加入したのは2009年の夏、Phil Brownが監督のときでした。それから彼はLain Dowie、Nigel Pearson、Nick Barmby、Steve Bruceと代々の監督のもとで、ハルの成長を支えてきました。パフォーマンス分析の科学は今や常識、それが彼の信念です。

Stewart:「パフォーマンス分析は、プロスポーツの中の成長産業の一つだと思う。だからフットボールの分析も、絶えず発展し、前進している。」

Stewartによれば、プレミアリーグとチャンピオンシップに属するチームは、洗練されたシステムを使いこなして情報分析を行うことにかけては、ヨーロッパの多くのライバルの遥か先を進んでいます。それは、一般的に信じられている「イギリスのサッカーの試合は、他国に比べて戦術的に幼稚だ。」というイメージとは正反対です。Sportscode、Prozone、Scout7といった分析ソフトウェアを使って、ピッチの上で何が起こっているのかを分析する、そのテクニックの進化をStewartは目撃してきました。これらのプロダクトは、ゲームをごくごく細部にわたるまで分析し、シンプルな形でプレゼンテーションし、選手たちに理解させる、それを助けてくれるのです。

ある試合の日、Stewartはベンチと無線で交信しながら、ゲームのライブ映像の記録とコーディングを行っていました。ハーフタイムになると、選手たちにビデオを使った前半のレビューを行い、スタッフに対しては鍵となるスタッツデータをフィードバックしているのです。

Stewart:「どの情報がスタッフにとって重大なのか?どの情報がゲーム中の決断の拠り所となるのか?それを見つけることこそが、この仕事の鍵なんだ。」

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KCスタジアムでの仕事が終わると、Stewartの仕事の相手はトレーニング中の選手たちです。選手たちをディフェンダー、ミッドフィールダー、フォワード、それぞれのポジションごとに分け、週の初めに前のゲームのレビューとディスカッションを行います。そして週末の試合が近づくと、次の対戦相手の詳細な対策に取り組みます。

対戦相手の分析は、今シーズンの結果に欠かせないものでした。それは非常に多くのクラブが、独自の戦術をとるようになったからです。例えば、リヴァプールのブロックからのハイテンポのバーストアウト、サウザンプトンのプレッシングゲームなどです。同じ戦術を頻繁に使うこと、それが今シーズンは目立ちました。

Stewart:「どのチームがどんな戦術を取ってくるか、その傾向についての確率はあるさ。でもそれはフォーメーションや負傷者、スコッドのローテーションによって変わりうる。シーズンの初め、多くの人たちはリヴァプールがポゼッションのチームだと思っていただろう?でも最近ではカウンターアタックを強く指向している。だから、あるチームが何らかのスタイルを持っていたとしても、それはゲームごとに変わる可能性があると思ってなきゃいけないよ。」

ハル・シティの試合に対するアプローチが常に一貫していたことが、昨シーズンのプレミア昇格において、チームの勢いを維持することに大いに役立ったと彼は信じています。

Stewart:「チャンピオンシップで昨シーズン通した習慣を、昇格した今シーズンも変わらずに続けることができたこと、振り返ってみると、それが何より良かったことだと思う。」

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しかし、チームがこうした分析データをピッチ外でしっかりと秘密にしていても、メディアはそうはいきません。スタッツのスペシャリスト、例えばOptaSportのデータはTwitterでも簡単にヒットしますし、イングランド代表Gary Neville(マンテェスター・ユナイテッド)に関するSky Sportsの分析は、彼のプレーの賞賛されるべき点を明らかにしています。

Stewart:「評論家たちがそうやってスタッツを使えば、もちろん、それはスポーツ産業にとって役立つよ。より多くの人たちの家庭にそれを届けてくれるからね。」

「メディアに出る情報の中には、チームでは決してレビューには使わないけれども、ファンにとっては面白いと思えるものがある。例えばメディアは、よくポゼッションとパスに関するスタッツをプレーヤーの質を評価するために使う。でもそれだけでプレーヤーの貢献度合いを適切に査定しようと思ったら、十分とは言えないよ。」

(橘 肇)

日本サッカー界にもパフォーマンス・アナリストを – Sportstec Japanからのメッセージもご覧ください。

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