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リアルタイム・ビデオフィードバック:
ウェールズU16男子ナショナル・ディベロップメントスコッドの例
スポーツテック社ニュースレター2012年7月号の記事より翻訳 (画像とも)



2010 年8月、南ウェールズのポート・タルボットにおいて、スポーツテックUK、ウェールズ大学カーディフ校(UWIC)、ウェールズ・フットボール・トラスト の3者の共同プロジェクトが始まりました。ウェールズ・フットボール・トラストはウェールズフットボール協会(FAW)の一部門で、コーチの教育と選手の 育成に責任を持っています。トラストは過去2年間、この両方のプログラムにおいてスポーツコード・プロを活用してきました。
[話]Osian Roberts氏(ウェールズ・フットボール・トラスト、テクニカルディレクター)

ビ デオフィードバックは、男子および女子のU16のナショナル・ディベロップメントスコッドの育成プロセスの中に統合されています。スポーツコード・プロは 試合と練習の分析のために使われ、フィードバックはチーム全体と選手個人に対して、それぞれ提供されています。学習ツールとしてビデオを利用することは、 この年代の選手にとって理想的なものです。それは彼らが普段から、インターネットで、コンピューターで、そしてスマートフォンで日常触れているものだから です。それゆえ選手にも、コーチにも十分に受け入れられています。

このケーススタディの目的は、スコッドに提供されている分析サポートプ ログラムをさらに進化させるために、リアルタイムフィードバックシステムをテストすることにありました。テストの舞台になったのは、ポート・タルボットに あるウェールズプレミアリーグのグラウンドで行われた、ポーランドとの国際親善試合です。

この会場には、ダグアウトやチェンジングルーム のあるメインスタンドの反対側に、大きなガントリー(作業用の足場)があり、電源も備えられています。試合の夜に私たちが準備した機材は、グラウンドをサ イドから撮影するカメラ、ゴール側から撮影するカメラ(Hi-Podの上に設置)、スポーツコード・エリートをインストールした3台のMacBook Pro、2台のAirport Extreme、2台のiPadです。操作する人員は全部で6名、内訳はビデオカメラに2名、コール役、コーディング役、アナリストが各1名ずつ、そして もう1名は「遊軍」として何らかのテクニカルサポートが必要になった場合に備えました。セッティングの状況は図に示すとおりです。

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Hi-Podの上から撮影しているゴール側からの映像は、スポーツコード・エリートに直接キャプチャし、サイド側のコーディングされた映像とリンク して試合後のフィードバックができるように準備しました。残念ながら、当日はウェールズ特有の強い風と、土砂降りの雨が一晩中吹きつける荒天で、Hi- Pod上のカメラは試合開始からわずか20分で使えなくなってしまいました。しかし残りの試みはうまく行うことができ、サイドからの映像はキャプチャ、 コーディングされてすぐにストリーミングされ、リアルタイムフィードバックに役立てられました。

キャプチャとコーディング(これにはコー ル役のサポートが重要でした)はスポーツコード・エリートで行われ、このラップトップにはもう1台のラップトップが接続されています。アナリストはこの2 台目のラップトップの前にいて、コーディングしたクリップを確認しながら、選んだインスタンスをAir Videoを使ったストリーミングでダグアウトのiPadに送ります。コーチからは携帯電話を通じてこのイベントを見たいという要求があり、またアナリス トはライブでアップデートされるスタッツ情報を2台目のiPadで見ていました。このスタッツウィンドウはUWICのCentre For Performance Analysisで開発されたもので、ビジュアル的にもわかりやすく、データが読みやすいように組まれていました。

試 合中、ダグアウトにいるコーチたちはインスタンスムービーをストリーミングで閲覧し、ハーフタイムには選手個人へのフィードバックをドレッシングルームで 行いました。この全体の過程は、コーチにも選手にも好意的に受け止められました。即時のビデオフィードバックは非常に効果的なツールです。ハーフタイムに は、セットピースでの強みと弱みを再確認するために使いました。また中盤で戦術的にどこに問題があるかをキーなる選手にフィードバックすることができまし たし、彼らの知りたいことに対して私が的確に答えを説明したので、非常に印象づけられたようです。結果として、問題点をきちんと修正できました。

こ の試みが成功裡に終わったことで、次のチャレンジは、異なった環境の中でもこのリアルタイムフィードバックのワークフローを再現できるかという点になりま した。デベロップメントスコッドの試合は常に違う試合会場で行われ、人員も1人か2人というのが実際のところです。困難なことはいろいろとありますが、現 在では男子に対しても女子に対しても、iPadを使ったビデオフィードバックは効果的に活用されています。鍵になるのは、試合環境が異なれば、ワークフ ローも柔軟に変えていくということであり、会場や人員によって違った作業過程を求められるということです。9月のテスト以来、自分たちで撮影した映像と TVカメラからの映像、Airport Extreme、Air Video、Air SharingとDropboxを利用したネットワークを基本的に使っていますが、時にはムービーをiTunesを使って同期し、iPadをコーチに届け る「ランナー」が活躍することもあるのです。

来シーズンもスコッドに対するこのリアルタイム・フィードバックを活用していく予定ですが、 さらにトレーニングでの活用にも発展させる計画です。また、このワークフローは学習する側にとっても効果的なので、コーチの教育プログラムの中でも紹介し ていこうと考えています。間違いなく、私たちはこのシステムをさらに発展させられるでしょう。しかし現段階でもこのポテンシャルには非常に感銘を受けてい ます。

ウェールズ・フットボール・トラストは、この試みに対するスポーツテックUKとUWICのCentre For Performance Analysisの協力に対して、感謝の意を表したいと思います。

(翻訳:橘  肇)

 

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