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第6回スポーツコード・ユーザーカンファレンス(2010年)

この年は、過去5回開催した自社スタジオを初めて飛び出しました。会場に選んだ川崎市国際交流センターは、新幹線や空港からのアクセスが遠いことを除けば、非常にいい会場でした。この回以降、外に会場を借りることが定例となっています。

スポーツテックからのゲストはこの年もアメリカから。北米のユーザーサポート全体を統括するNorth American Support Managerのジャスティン・タニサワ氏を招きました。日系三世のジャスティンさんは、前年のウォルトさんと同じく、バスケットボールのビデオ・コーディネーター(サンディエゴ州立大、UCLAなど)の経験があり、スポーツテック入社後は長期でNBAマイアミ・ヒートのサポートにも入っていたという人物です。

さらには当時のラグビー日本代表テクニカルの前田様、フェンシング日本代表テクニカルの千葉様が講演を引き受けてくださり、ユーザーリポートには、コーチとしてもアナリストとしても実績のある3人のラグビーコーチのかたが立候補してくださいました。

<開催日>
2010年3月21日(土)10:00~19:30

<会場>
川崎市国際交流センター

<プログラム> ※ 講師のかたのご所属・肩書きはすべて当時、敬称略
10:30~ 開会あいさつ・オープニングセッション「SportsCode Review 2008」
10:45~ スペシャル・リポート~日本代表をサポートする1
「ラグビー日本代表におけるPDCAサイクル」
 前田 祐樹(ラグビー日本代表テクニカル、データスタジアム株式会社)
11:45~ スペシャル・リポート~日本代表をサポートする2
「フェンシングナショナルチームのテクニカルサポート」
 千葉 洋平(国立スポーツ科学センター)
13:30~ 招待講演
「Workflow for an NBA Team」
 Justin Tanisawa(Sportstec, Inc. North American Support Manager)
15:50~ インフォメーション:最新パフォーマンス分析プロダクトの紹介
16:20~ ユーザーリポート
 1. クリス・ミルステッド(ラグビーコーチ)
 2. 古田 仁志(国士舘大学)
 3. 秋廣 秀一(山梨学院大学)
18:00~ 懇親会

7日間で6回の講演

この年もカンファレンス前に、大阪と東京で2回の自社セミナーを開催しました。また大阪体育大学、早稲田大学、筑波大学では学生向けに特別講義をする機会をいただき、さらにJISSを訪問して、実際にスポーツコードの使われている現場をジャスティンさんに見せることもできました。7日間の滞在中、実に6回のレクチャーになりましたが、ジャスティンさんは快く引き受けてくれました。

この年の参加者は36人でした。前年もそうでしたが、バスケットボールのユーザーにぜひ聞かせたいお話であるにもかかわらず、3月の終わりはまだJBL、WJBL、bjリーグの開催期間中なのでチーム関係者がまったく参加できないという日程でした。開催日は毎年悩むところなのですが、教育関係者と学生が参加しやすい春休み、かつ最大ユーザーグループのラグビーがシーズンオフということで、3月の終わりから4月初めの開催で続けてきています。しかし、いずれこれも再考するときが来るのかもしれません。

現役代表スタッフのスペシャルレクチャー

さて、この年の講演とユーザーリポートはいずれも第一線のコーチやアナリストの方ばかりだったこともあって、どれも今でも鮮明に私の記憶に残っています。

前田様は現役のラグビー日本代表アナリストとして、試合前の準備からライブコーディング、試合後の分析、フィードバックまでをPDCAサイクルに合わせて丁寧に語ってくださいました。スポーツコード・エリートのネットワーク機能をフルに使った試合中のタイムライン共有の運用は、このときに始まったものです。続く千葉様は、前年の北京五輪、個人での銀メダルという成果を挙げたフェンシングでのテクニカル活動について。まず、競技自体になじみのない参加者に対して、フェンシング、フルーレという種目をアニメーションを使って丁寧に説明してくださったところが秀逸でした。今思えば、このとき、ロンドン五輪に至る日本フェンシングの躍進への道がスタートしていたと言っても過言ではないと思います。

NBAビデオ・コーディネーターの1日

スポーツテックからのゲスト、ジャスティンさんのプレゼンテーションのタイトルは「Workflow for an NBA Team」。前年のウォルトさんのプレゼンテーションで、初めてNBAのビデオ・コーディネーターの世界に触れた私たちを、さらに奥深い世界に誘うものでした。特に試合日のビデオ・コーディネーターの1日をドキュメント風に紹介していくプレゼンテーションには、思わず引き込まれてしまいました。この中で紹介されたマイアミ・ヒートのヘッドコーチ、エリック・スポールストラ氏の、ビデオ・コーディネーターからヘッドコーチへ(その後、NBAチャンピオンへ)というキャリアパスは、情報分析というキャリアがコーチへの道筋の中でも生きてくる実例、という意味でとても励まされました。こちらもぜひ、YouTubeでご視聴ください。

“私がひも解くテクニカルの歴史”

ユーザーリポートはまず、長年日本でラグビーのプロコーチを務めているクリス・ミルステッド様から。前年の講師、キース・デービス様と並ぶ、日本のラグビー界で長年信頼を受けているコーチです。「A Coach’s View(コーチの視点)」と題し、コーチングの中でのビデオ、データの使い方をマインドマップを使って説明してくださいました。続く古田様は2008年のカンファレンスに続き2度目の講演、このときはU20日本代表チームのコーチという立場で、10代の選手たちにどう情報を伝え、変化を促すか、アナリスト時代とはまた違った観点で工夫されていました。最後を務めたのは、2003年、2007年と2回のワールドカップの経験がある秋廣様。人を楽しませることの好きな秋廣様らしく「日本ラグビー界のテクニカルの歴史」という視点で、テクニカル職の発展にハード&ソフトウェアの進歩を絡めてユーモアたっぷりに語り、笑いの絶えないプレゼンテーションでした。

その後の懇親会も非常にいい雰囲気で行うことができ、最優秀ユーザーリポートは秋廣様に贈呈いたしました。

一旦、休止

さて、この年を区切りに開催はいったん休止しました。6年続けてみて、自分自身、これ以上のいいアイディアが出ないなあと感じていたのが理由でした。とにかく続けることにこそ価値があるというのは、続けることが難しいからこその言葉だなあと、今になって逆説的に納得しています。
*講師のかたのご所属・肩書きはすべて当時のものです。

*当時ご参加のかたで、写真が欲しいというご希望がございましたらお送りします。ご連絡ください。
(文:橘 肇)

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